『ジュラシック・ワールド 炎の王国』の感想が1600字ちょいになったのでフィルマークスから転載

ジュラシック・ワールド 炎の王国』の感想をフィルマークス

filmarks.com

に投稿したけど、あまりに熱量入りすぎて文字数がずいぶん多くなり、読みづらいのでブログに転載しました。

以下、↑のフィルマークスレビュー投稿のコピペです。

 

-----------------------------------------------------------------------------------

『ジュラシックミュウツーの逆襲』


ジュラシックシリーズ、特に第1作の『ジュラシック・パーク』に顕著だと思うのですが、このジュラシックシリーズの魅力は無邪気すぎるワクワク、すなわち、「化石でしか見ることのできない恐竜を、蘇らせることができたら、どんなにステキだろう」っていう無垢なワクワクから始まっていることだと思います。

第1作ではハモンド氏の無邪気で純粋なワクワクが、最新テクノロジーで(作中では遺伝子操作テクノロジーで、スクリーンにおいては当時の最先端のCG技術で)目の前に広がるワクワク。
観客も、劇中の登場人物たちも「いま、目の前で恐竜が生きて動いている奇跡」のワクワクを共有できたからこそ、押しも押されぬ大傑作映画となったのだと思います。

このシリーズは、「モンスターパニック映画」の模範的大傑作です。
しかし、他のモンスターパニック映画と比べて本シリーズがとくに魅力的なのは、恐竜が「人間を食い殺す恐ろしい生物」でありながら、「愛し畏敬すべき野生動物」であり「テクノロジーが生み出した被造物」であり「いま目の前に生き、”生きる道を見つけようとする”生物」であるという多面的構造だとおもいます。
端的に言うとこのシリーズで大事なのは「恐竜は恐竜であり、モンスターでも怪獣でも無い」っていうところです。

(余談ですが、”マグロ食いのGODZILLA”が日本の怪獣オタクに度々「あんなジラはただの恐竜で、怪獣じゃない」って言われてたのと真逆ですね。「恐竜は恐竜であって怪獣じゃない」がキモのシリーズなのです)

「パーク三部作」はシリーズが進むにつれパニック映画としてのスリルを高めるためか、段々と「恐竜への畏敬」という要素は薄まってしまったように感じます。

で、前作『ジュラシック・ワールド』ではインドミナス・レックスという”怪獣っぽい恐竜”を登場させることで「恐竜は恐竜」という魅力を再確認した、のだと思います。

そして今作『炎の王国』です。
「ついにパーク開園のワクワク!!そして案の定大パニック!!」の前作に比べて正直言ってロケーションのスケールダウンの感はあります。(まあ”島”が滅びる話なので当然ではあるのですが)
しかし、今作、過去のシリーズの中でも「人間は被造物である恐竜の責任をとるべきではないのか?」という問いと「人間はいま目の前に生きているこの生物の生殺与奪の権を持っているのか?」という問いの葛藤がクライマックスで最大限描かれた作品だと思います。

「人間は被造物の生命に対して責任を取るべき」と「いま生きている生命を尊重すべし」という問題は卑近で身近な例を挙げると「ノライヌ・ノラネコは駆除すべきか?保護するべきか?」という例が挙げられます。「死なせるか?保護か?」はちょうどこの作品でも描かれた対立でもありますね。イヌネコは(人を食い殺しはしないにせよ)地域によっては様々な害をもたらす害獣となります。しかし、ノライヌ、ノラネコを野に放ってしまったのは人間であり彼らに罪はない、殺すのは人間のエゴだ......とノライヌノラネコでさえ、その処遇について人類は確固たる答えを出すことはできません。

そしてクライマックス。ある登場人物のある行動。決定的ネタバレになるので直接の言及は避けますが、わたしが連想したのは『ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』でした。

いろいろ言いましたが「インドミナス(=直訳:制御不能)レックスを造ったぞ!と思ったら暴れだした!制御不能だ!」の前作に引き続き、「インドミナス・レックスを改良したインドミナス・ラプトルを造ったぞ!!」っていう、本来は善悪で判断できないはずの問題に「善悪で判断できるわかりやすい悪役」を設定することとか、正直言って気に食わないところもあるのですが、クライマックスの、”一線を超えてしまった”あの決断とあの行動。

生命倫理vs生命へのワクワク」というこのシリーズの持つ本来の葛藤そのものが一線を超えた感じがします。
おそらくあるであろう次作。”王国”の行く末を見守らなくては......という気になりました。

-----------------------------------------------------------------------------------

ブログの規約って別サイトに投稿したのの転載ってOKなんですかね?

まあいいや。公開ボタンポチッとな